解説 / READING
2025年 春闘・賃上げの実態 ─ 過去30年で最高水準だが家計に届くか
2025年春闘の平均賃上げ率は5.25%。33年ぶりの高水準だが、CPIが123.7まで上昇し、実質賃金は2024年の99.2から2025年の97.9へ低下。物価と社会保険料が賃上げを打ち消した実態をデータで検証する。
33年ぶりの大型賃上げ、その実態
連合がまとめた2025年春闘の平均賃上げ率は5.25%(最終集計)。 前年(5.10%)に続き、2年連続で5%超えを達成した。 これは1991年(5.66%)以来、約34年ぶりの高水準だ。
一見、明るいニュースだが「実質的に家計に届いたか」を見ると、実質賃金指数は2024年の99.2から2025年の97.9へ低下した。 物価上昇・社会保険料増・税負担増が、せっかくの賃上げを打ち消した実態を検証する。
春闘賃上げ率の30年推移
注目すべきは、2022年まで20年間にわたり2%前後で停滞していたこと。 2023年(3.58%)から本格的な転換が始まり、2024〜2025年で5%台に到達した。
名目賃上げ率 vs 実質賃金の関係
「春闘で○%賃上げ」というのは名目値。 これに対し、実質賃金は名目賃金から物価上昇を引いた指標。両者を並べると次のようになる。
| 年 | 春闘賃上げ率 | CPI上昇率 | 実質賃金推移 |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 1.86% | ▲0.2% | 97.1(前年から+0.6) |
| 2022年 | 2.20% | +2.5% | 97.8(+0.7) |
| 2023年 | 3.58% | +3.0% | 98.5(+0.7) |
| 2024年 | 5.10% | +2.7% | 99.2(+0.7) |
| 2025年 | 5.25% | +3.2% | 97.9(▲1.3) |
春闘5.25%に対しCPIは3.2%上昇したため、実質賃金ベースでは1〜2%程度の伸びが期待されたが、 実際の実質賃金指数は2024年99.2から2025年97.9へと低下した。春闘の対象は大企業中心で、中小企業や非正規労働者には満額反映されにくい構造的な格差が、マクロ平均を下押ししている。
社会保険料の上昇が手取りを削る
賃金が増えれば、社会保険料の徴収額も同時に増える。さらに料率自体も毎年上昇している。
実質賃金で+2.5%増えても、社会保険料率の上昇分が約0.6%差し引かれる。家計に届く正味の改善は1.5〜2%程度にとどまる可能性が高い。
中小企業・非正規労働者への波及は?
連合のデータは主に労組のある大企業の数字。日本の雇用者の約7割は中小企業で働き、 約4割は非正規労働者。これらの層への波及がどれだけ起きるかが今後の焦点だ。
この賃上げの流れはいつまで続くか
賃上げ持続性については、3つの見方がある。
人手不足・労働分配率の見直しが本格化。今後5年は3〜4%台の賃上げが定着する。
物価上昇が落ち着けば賃上げ率も2〜3%台に落ち着く。実質賃金は緩やかに改善。
資源高・円安が落ち着けば賃上げ圧力も消え、過去30年と同じ低水準に戻る。
まとめ
- 2025年春闘の賃上げ率5.25%は33年ぶりの高水準
- しかし実質賃金指数は99.2→97.9へ低下、物価上昇が賃上げを打ち消した
- 社会保険料率も18.5%→18.6%へ上昇し、手取りベースの改善は限定的
- 中小企業・非正規労働者への波及度合いが今後の焦点
- 持続性は人手不足・物価動向によって変動する
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